□トイレの長さ トイレの長さは言うまでもなくトイレに入っている時間のことである。私のトイレ滞在時間は恐らく普通の人よりは長いはずである。トイレに入っている時間を正確に測り統計をとったりはしていないが腹時計では大体二〇分から三〇分である。トイレに入って本や新聞などを読んで長くなる人もいるそうだが私も自宅でトイレに入る時は新聞を持ち込むがトイレ本来の目的が達成されればすぐ出てくる。 私のトイレが長いのは所謂『踏切り』ならぬ『糞切れ』が悪いのである。第一弾が放たれた後も『残尿感』ならぬ『残糞感』が続く。第二弾放出までじっと待つのだがそのままで終わってしまうことの方が多い。めったにないことだが第三弾が待ち構えていることもある。『残糞感』と戦っているうちにしばらくすると今度は小さい方が催してくる。こうなると小が先か大が先か、私の下半身の前と後ろが喧嘩を始め出す。デッドロック(行き詰まり状態)になりますますトイレの時間が長くなる。大抵の場合は第一弾放出後このデッドロックが続き最後は小の方が勝ってトイレが終るのである。 所で、トイレに入っていると隣のトイレに後から誰かが入って来ることがままある。中には入ってドアを閉める音がしたと思ったとたん『ビリビリ・バリバリ』とものすごい音がし、今度は『カラン・コロン』とトイレットぺーパを引き出す音が二、三回したと思ったら次にはもう水を流している。この間わずか一分経っているかいなかである。一体、どんな人種か顔を見たいと思うが私は依然トイレの中にいるので見たことがない。私には絶対真似の出来ない電光石火の早業であるがお尻はキチンと拭いているのか要らぬ心配をしている。 原稿を書きながらふと思い出した。トイレの長い人は大のあと小もするのか。逆に極端に短い人は大だけで終るのか。早速、父親に聞いてみた。我オヤジ殿も大をした時は必ず小もするとのことである。さらにオヤジ殿いわく『俺なんか小をするつもりで大が出てしまうことがあるよ』。父親も齢八十歳を優に超えいささか下のコントロールに難が出始めたが、上(頭)のほうは依然として衰えていない。 私は大をすると必ず小もついてくるが、同時にはでない。大人になると前と後ろから同時に発射することは生理的にできないそうである。幼児や小さい子供の頃はこれが同時にでるそうであるが私には記憶が定かでない。大の大人で同時にできる人がいたとすれば、生理的に子供の域を脱していないことになる。 |